指名
どうも、
美容院では
「大丈夫です」を連発する女、ミサキです。
今日は、
美容院で担当を変えたいのに
言えない話。
正直に言うと、
嫌な人じゃない。
むしろ、いい人。
笑顔。
丁寧。
ちゃんと聞いてくれる。
だからこそ、言えない。
最初のカウンセリング。
鏡越しに目が合う。
「今日はどうしますか?」
ここで本当は、
「あなたじゃない人で」
って言いたい。
でも口から出るのは、
「前回と同じ感じで…」
完全に裏切り。
ハサミの音が始まると、
もう手遅れ感が出てくる。
会話も悪くない。
天気。
仕事。
最近どうですか。
全部、無難。
でも内心、
ずっと思ってる。
「カットのリズム、
私と合ってない」
言語化できない違和感。
説明できない不安。
途中で、
仕上がりが
想像とズレてる気がする。
でも聞かれる。
「長さどうですか?」
ここでの正解は、
「少しだけ短く」
私の答え。
「大丈夫です」
何が大丈夫。
終盤、
ドライヤー。
仕上げのワックス。
ここまで来たら、
もう一緒に完走するしかない。
鏡に映る完成形。
悪くない。
本当に悪くない。
でも、
ベストじゃない。
帰り道、
風に当たる。
前髪、
思ってたより軽い。
次どうするか、
もう考えてる。
「次は指名変えよう」
でも予約画面を開くと、
名前が出てくる。
知ってる名前。
また閉じる。
結局、
次回も
同じ人。
美容院って、
技術より
勇気が必要。
どうも、
髪より
気まずさを切りたくなる女、
ミサキでした。
10 views