開け口の角度
どうも、
牛乳パックの開け口を毎回ダメにする女、ミサキです。
朝。
冷蔵庫から
牛乳を出す。
新しい
一本。
開け口の
三角を、
両手で持つ。
ここだ。
左右の
親指を
かける。
押し開く。
ぐ、
と力が
入る。
パカッ。
音は、
気持ちいい。
開いた。
……が、
開き方が
きれいではない。
口が
ぐにゃりと
つぶれている。
紙の
繊維が
毛羽立っている。
注ぐ。
コップに
入れる。
……パックの
縁から
白いものが
伝って、
手に落ちる。
注ぎ口が
つぶれているので、
牛乳が
まっすぐ
出ない。
開け口の角度。
表の説明書きには、
「この部分を
つまんで
引き上げる」
と書いてある。
読む。
今さら、
読む。
つまんで、
引き上げる。
押し開く
のでは
なかった。
でも、
十年間
押し開いてきた。
十年分、
毎朝
つぶれた口で
注いできた。
子どもが
来る。
「ママの開けた牛乳、
いつも
口がぺちゃんこ」
「いつも?」
「いつも」
私が
見ていなかった
だけで、
毎朝
見られていた。
次の朝。
新しいパックを
開ける。
つまんで、
引き上げる。
きれいに
開いた。
ではまた。
十年分の牛乳を、
つぶれた口で
飲んできた。
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