青い表紙
どうも、
情報ゼロの手がかりから本を探し当てる女、ミサキです。
本屋のレジで、
「あの、表紙が青い本」
と言われることがある。
青い表紙の本は、
たぶん今年出たぶんだけで
二百冊はある。
それでも、
探す。
「文庫だったと思う」
「たぶん」
「帯があったかどうかは覚えてない」
情報が、
毎回ほぼゼロ。
というか、
今の三つで確定した情報が
一個も無い。
でも私は、
たいてい当てる。
季節。
平積みの位置。
話しぶりから逆算した年齢層。
そして「たぶん」の言い方のクセ。
このへんを全部足していくと、
だいたい二冊まで絞れる。
……名探偵、
ではない。
消去法の鬼。
今日も一冊、
表紙の色だけで当てた。
お客さんは
「それです!」と驚いていたけど、
正直、
驚いているのはこっちだった。
なぜなら私は、
今朝も自転車の鍵を
三十分探していたからだ。
家の中で。
見知らぬ人の
「青い表紙」は当てられるのに、
自分の鍵の在処には
一切のエスパー力が働かない。
この能力、
配分をまちがえている。
ではまた。
「青い表紙」で当てられる力は、
家の中では一度も発動したことがない。
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