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街とお店で

白い車

買い物を終えて、
駐車場に出た瞬間に

自分の車がどこにあるか
完全に消えていることがある。

どうも、
駐車位置の記憶容量がゼロの女、ミサキです。

停めるときは、
覚えているつもりでいる。

「入口の近く」
「柱のとこ」

そのくらいの解像度で覚えて、
店に入る。

一時間後。

出てくる。

入口が、
二つあった。

私が今出てきたのは、
入ったのと同じ入口だろうか。

わからない。

とりあえず歩く。

うちの車は白い。

駐車場、白ばっかり。

同じ形が三台並んでいると、
もう自信がない。

近づいて、
中を覗く。

後部座席に、
子どもの水筒。

無い。

違う車だった。

他人の車の中を
真剣に覗いている四十代。

見られていないことを
静かに祈る。

ここでキーの解錠ボタンを押せばいい、
と気づくまでに
毎回一分くらいかかる。

押す。

遠くで、
ライトがちかっと光る。

思ったより遠い。

「入口の近く」は、
完全に嘘の記憶だった。

歩きながら、
次からは絶対に番号を見ようと決意する。

決意は、
だいたい駐車場を出るまでしか持たない。

立体駐車場だと、
これがもっとひどくなる。

階を覚えていない。

三階だと思って上がると、
似た景色が広がっていて、

でも自分の車は無い。

四階へ上がる。

無い。

二階まで降りる。

あった。

三階だと思っていた記憶は、
どこから来たのか。

どこからも来ていない。

私はただ、
「三階っぽかった」
という感触だけで
二フロア歩いた。

ではまた。
私の車は毎回、思っているより遠くにいます。

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