電柱の前
どうも、
犬の散歩で、犬を待つ時間のほうが長い女、ミサキです。
日曜の朝。
犬と、
散歩に出る。
家を出て、
三十秒。
最初の電柱で、
犬が止まる。
嗅ぐ。
動かない。
リードを、
軽く引く。
動かない。
もう一回、
引く。
動かない。
ここで、
気づく。
私は、
犬が嗅ぎ終わるのを
待っている。
その間、
私は何をすればいいのか。
空を見る。
スマホを出しかけて、
しまう。
電柱を、
一緒に見る。
何も、
見えない。
数える。
四十秒。
終わらない。
一分。
まだ嗅いでいる。
電柱の根元には、
私には見えない
何かがある。
犬には、
たぶん
新聞が貼ってある。
反対側から、
別の犬と飼い主さんが来る。
会釈する。
向こうの犬は、
さっさと通り過ぎていく。
うちの犬は、
まだ読んでいる。
飼い主さんが、
ちらっと見る。
私は言う。
「すみません、
まだ読んでるみたいで」
何を言っているのか。
犬が顔を上げる。
歩き出す。
次の電柱まで、
五十メートル。
止まる。
嗅ぐ。
電柱の前。
家を出て、
十五分。
進んだのは、
百メートル。
引き返す。
帰り道は、
犬が速い。
ぐんぐん引っ張られる。
家が見える。
玄関の前で、
犬が止まった。
入らない。
座る。
動かない。
ではまた。
玄関の前で、
犬と並んで座っていた。
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