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街とお店で

同じ傘

どうも、
自分の傘を信じきれない女、ミサキです。

雨の日の、
スーパー。

入口の傘立てに、
傘を差す。

透明のビニール傘。

買い物を終えて、
戻ってくる。

傘立てを、
見る。

透明のビニール傘が、
七本。

どれだ。

一本、
引き抜く。

持ち手を見る。

……たぶん、これ。

たぶん。

引き抜いたまま、
固まる。

隣の傘も、
持ち上げてみる。

同じに見える。

その隣も。

同じ。

四本目で、
通りかかった人と
目が合う。

私は今、
他人の傘を
物色している人だ。

ここで間違えたら、
私は
他人の傘を
持って帰る人になる。

逆もある。

この傘が
誰かの傘で、
その人が
今、
店の中から
こっちを見ていたら。

見ていない。

わかっている。

でも、
後ろの視線が気になる。

同じ傘。

何を基準に
自分のものだと
思えばいいのか。

骨の曲がり具合。

持ち手の古さ。

わからない。

一本を選んで、
店を出る。

雨の中で、
傘を開く。

内側に、
黒いマジックで
知らない名前が
書いてあった。

閉じる。

濡れながら店に戻って、
傘立てに差す。

別の一本を、
引き抜く。

持ち手の端に、
小さな星のシールが
貼ってあった。

私が、
三週間前に貼った。

覚えていない。

ではまた。

目印は、
貼ったことを覚えているところまでが
目印だ。

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