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からだのこと

八千四歩

どうも、
八千歩に六歩足りないだけで廊下を往復する女、ミサキです。

夜。

歯みがきの前に、
スマホを見る。

歩数。

七千九百九十四。

八千に、
あと六歩。

あと六歩。

八千歩に、
意味はない。

誰にも褒められないし、
何かが貰えるわけでもない。

でも、
七千九百九十四は
気持ち悪い。

スマホは、
手に持った方が
カウントされるのか。

ポケットでも、
いいのか。

わからない。

とりあえず、
ポケットに入れる。

廊下に出る。

洗面所まで、
五歩。

戻る。

五歩。

十歩。

超えた。

スマホを見る。

八千四歩。

……増えすぎた。

ちょうど八千には、
ならなかった。

寝室まで行って戻れば
八千三十くらいか、
と計算を始めて、

歯みがきの前に、
頭が歩数のことしか
考えていないのに気づく。

でも、
「八千以上」で
満足する。

満足して、
歯をみがく。

洗面所に着くと、
夫が言う。

「さっき廊下で、
何してたの?」

見られていた。

「運動」

「へえ」

夫は、
それ以上聞かなかった。

聞かれても、
答えは
「あと六歩」しかない。

翌朝。

先週の歩数の棒グラフを
見てみる。

月曜、五千。
火曜、六千。
水曜、五千。
木曜、七千。
金曜、六千。

そして、
昨日。
八千四。

一本だけ、
棒が突き出ている。

ではまた。

八千四歩は、
廊下でできている。

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