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パート先のこと

一番上の一枚

どうも、
ふきんの一番上の一枚が使えない女、ミサキです。

書店のレジ。

閉店後、
カウンターを拭く。

バックヤードの
引き出しに、
ふきんが
重ねて入っている。

白いのが
五枚くらい。

一番上を取る。

広げる。

端に、
うすい茶色の
しみ。

これは
たぶん、
コーヒーだ。

洗っても
落ちなかった
やつだ。

戻す。

戻してから、
「戻した」ことに
少し罪悪感がある。

二枚目を取る。

広げる。

きれい。

でも、
その二枚目を
取ったことで
一番上の
しみのある一枚が
ずっと
一番上に
残る。

一番上の一枚。

誰も
使わない。

同僚の
ベテランさんが
通りかかる。

「あ、
そのしみのやつ、
私が
こぼしたんだった」

そう言って、
一番上を
さっと取る。

ためらいなく
カウンターを
拭き始めた。

私は、
二枚目を
持ったまま
立っている。

「ミサキさんも、
使いなよ」

「あ、
はい」

二枚目で
拭く。

でも、
しみのある
一枚が
どうしても
気になる。

次の日。

引き出しを開ける。

一番上は、
白い一枚。

しみは、
ない。

広げてみる。

昨日の、
しみの一枚と
同じふきん。

洗って、
乾いて、
畳み直されている。

しみは、
うすくなっていた。

ベテランさんが
昨日、
拭いたあとに
漂白して
くれたらしい。

私が
一日
避けていたものを、
あの人は
一日で
直していた。

カウンターを
拭く。

ふきんは、
やわらかい。

ではまた。

避けていたふきんが、
一番よく拭けた。

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