一滴の行方
どうも、
目薬を差すだけで三回やり直す女、ミサキです。
夜。
洗面所の鏡の前。
目が、
乾く。
パソコンを
見すぎた日の
夜だ。
引き出しから、
目薬を出す。
去年買った
一本が、
まだ半分残っている。
目薬を、
右手に持つ。
キャップを
外す。
上を向く。
目を、
大きく開く。
容器の先を、
目に近づける。
近い。
近すぎる。
少し離す。
押す。
ぽたり。
まぶたの
上に、
落ちた。
目には、
入っていない。
拭く。
もう一回。
上を向く。
目を開く。
ここで、
気づく。
目薬の容器が
視界に入った瞬間、
反射で
目を閉じている。
閉じていては
入らない。
わかっている。
わかっているのに、
閉じる。
二回目は、
目の下に
落ちた。
ティッシュで拭く。
目の下が
少しだけ
すっきりする。
それは、
目薬の効果ではない。
三回目。
片手で
まぶたを引っ張って、
もう片方で
押す。
入った。
入った、
はず。
目をぱちぱちする。
一滴の行方。
入ったのか、
頬を伝ったのか、
わからない。
鏡を見る。
頬に、
一本の筋。
目薬は
半分、
目に入って
半分、
顔を流れた。
翌朝。
子どもが
洗面所に来る。
「ママ、
目薬って
一回で入るの?」
「入るよ」
「じゃあ
なんで
昨日、
三回やってたの」
見られていた。
ではまた。
目に入った一滴より、
見られた回数の方が
多かった。
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