角と角
布団カバーの中で、
一度だけ完全に方向を見失ったことがある。
どうも、
布団と一対一で組み合うのが年々つらくなってきた女、ミサキです。
カバーを替える。
それだけの作業。
理屈は簡単だ。
四つの角に、
四つの角を合わせる。
ひもを結ぶ。
終わり。
小学生でもできる。
そう思っている。
毎回そう思って、始める。
一つ目の角。
入った。
二つ目。
入った。
ここまでは調子がいい。
三つ目を入れに行くと、
一つ目が
静かに外れている。
角は、四つ同時には存在しない。
物理として、
そんなはずはない。
でも私の布団の中では
そうなっている。
途中で、
自分がどの面にいるのか
わからなくなる。
表なのか。
裏なのか。
とりあえず、
中に潜る。
潜って、
腕を伸ばして、
角をつかむ。
このとき私は、
布団カバーを着ている。
外から見たら、
たぶん何かの生き物。
子どもが通りかかって、
一言。
「ママ、なにしてるの」
説明したいが、
説明している場合ではない。
十五分後、
完成する。
達成感はある。
ちゃんとある。
でも、
シーツ一枚に
十五分かけた事実は残る。
どうも、
布団と組み合って
毎回引き分けに持ち込む女、
ミサキでした。
次はもう少し早く畳めるはずです。たぶん。
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