合わない日
どうも、
一円のために三十分かけたことがある女、ミサキです。
レジ締め。
数える。
合わない。
一円。
たった一円。
金額としては、
どうでもいい。
自腹で入れても、
一円だ。
でも、
そういう話ではない。
一円合わないということは、
どこかで一回、
何かを間違えたということで、
その「何か」が
わからないまま帰るのが、
落ち着かない。
金額じゃなくて、心当たりが欲しい。
もう一度数える。
同じ。
三回数える。
同じ。
数え方が悪いのではなく、
本当に一円足りない。
レシートを見返す。
ここで私は、
今日一日のレジ打ちを
頭の中で早送りし始める。
あのお客さん。
小銭を出しかけて、やめた人。
あのとき、
私は何を受け取った?
思い出せない。
思い出せないまま、
三十分が経つ。
結局、
先輩が来て一言。
「一円は、まあ、あるよ」
あるらしい。
そういうことも、
あるらしい。
その一言で、
私の三十分は終わった。
終わったけれど、
納得はしていない。
帰り道、
まだ考えている。
一円のことを、
自転車をこぎながら考えている。
次の日は、
一円多かった。
多い。
足りないより、
気持ちが悪い。
足りないなら
自分のミスで説明がつくが、
多いのは、
どこかで誰かが
損をしているということだ。
昨日足りなかったぶんが
戻ってきただけかもしれない。
そう考えれば、
つじつまは合う。
合うのだが、
昨日の私が三十分かけて探したものが
勝手に帰ってきたことになって、
なんとなく、
納得がいかない。
どうも、
一円で三十分持っていかれる
コスパの悪い女、
ミサキでした。
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