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街とお店で

呼ばれる側

どうも、
セルフレジで

必ず一品だけ手こずる女、ミサキです。

八品ある。

七品は、
気持ちいいくらい
すんなり通る。

ピッ。
ピッ。
ピッ。

このリズムが好きで、
私は結構セルフレジが得意なつもりでいる。

つもりでいた。

八品目。

もやし。

通らない。

角度を変える。
通らない。

裏返す。
通らない。

袋の端を持って、
バーコードだけを
機械の目に近づける。

通らない。

ここで私は、
もやしを
機械に対してプレゼンしている
状態になっている。

見てください。
ここにあります。
ちゃんと商品です。

機械は無言。

後ろに、
人が並び始める。

並んだ気配だけで、
指先が急に不器用になる。

もう一回、
角度を変える。

そのとき、
画面の上のランプが
静かに光った。

呼んでいる。

私を、
ではなく、
店員さんを。

数秒で来てくれる。

来て、
私が三十秒かけて失敗した動きを、
一回でやる。

ピッ。

通る。

「たまにあるんですよ」

やさしい。
やさしいけど、
たまにではない。

私は毎回、
何かしらで呼んでいる。

前回はキャベツだった。
その前は、値引きシールの貼られた鮭。

セルフのはずが、
だいたい人の手を借りて終わる。

会計を済ませて、
袋に詰めながら思う。

十九円のもやしのために、
プロを一人呼んだ。

ではまた。
セルフレジの「セルフ」は、私に対してはまだ早い。

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