念のための一枚
どうも、
「念のため」で荷物を二倍にする女、ミサキです。
一泊二日で、
実家に帰る。
一泊。
つまり、
必要な服は一組。
それは
わかっている。
バッグの前に立って、
一組入れる。
入れたあと、
手が止まる。
……こぼしたら?
もう一枚。
……寒かったら?
薄手のカーディガン。
……逆に暑かったら?
半袖。
一泊二日の荷物に、
三シーズン分が入り始める。
そこへ、
子どもの着替え。
こちらは本当に必要な分だけ入れる。
自分のときだけ、
判断が甘くなる。
タオル。
実家にある。
あるのは知っている。
でも、
「借りるのは気を遣う」
という理由をつけて、
一枚入れる。
歯ブラシ。
これも実家にある。
入れる。
薬。
飲んでいない薬まで入れる。
飲んでいないのに。
出発の朝、
バッグが閉まらない。
夫が見て、
一言。
「一泊だよね?」
一泊です。
わかっています。
帰ってきて、
バッグを開ける。
使ったもの。
服、一組。
歯ブラシ。
以上。
念のための八割は、
行って帰ってきただけだった。
でも次も、
たぶん入れる。
使わなかった安心料だと思えば、
そんなに高くない。
実家に着いて、
荷物を置いたら、
母が言った。
「タオルあるのに」
あります。
知っています。
知っていて持ってきました、
とは言いにくかったので、
「いや、なんとなく」
とだけ答えた。
なんとなく、
で押し切った。
母は特に追及せず、
私が持ってきたタオルを
洗面所にかけてくれた。
自分のタオルが、
実家の洗面所にかかっている。
妙な光景だった。
どうも、
念のためだけで
肩を痛める女、
ミサキでした。
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