誰も言わない
どうも、
「何食べたい?」を聞くのをやめられない女、ミサキです。
夕方。
冷蔵庫の前で、
一応、聞く。
「今日、何食べたい?」
返事。
「なんでもいい」
夫。
「ママの好きなやつ」
子ども。
出た。
この二つは、
うちの二大回答だ。
十年以上、
ほぼ同じ返事を受け取り続けている。
なのに私は、
毎回聞く。
なぜ聞くのか。
決めてほしいから、
ではない。
正直に言うと、
誰かに一回、賛成してほしいだけ
なんだと思う。
私はもう、
だいたい決めている。
冷蔵庫の中身を見た時点で、
選択肢は二つに絞れている。
その二つのうち、
どちらかを言ってほしい。
言ってくれれば、
それに乗る。
乗って、
自分で決めなかった顔をする。
でも誰も言わない。
「なんでもいい」は、
決定を私に返す言葉なのに、
本人たちは
やさしさのつもりで言っている。
そこが、
なんとも言えない。
結局、
生姜焼きにした。
食卓に出したら、
子どもが
「これがよかった」
と言った。
さっき言ってほしかった。
三十分前に、
その一言がほしかった。
でも言われた時点では、
もう作り終わっている。
作り終わってから正解を教えられるのが、
うちの夕飯の様式になっている。
ではまた。
「なんでもいい」の中には、実はちゃんと答えが入っています。
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