キャッチコピー
どうも、
POPに本気を出しすぎる女、ミサキです。
本屋のPOPを書く係になった。
新刊の平台に、
手書きの一言を添えるやつ。
任された日、
私はわりと本気だった。
ここで一発、
語彙力をみせてやろう。
そこから一週間、
ずっと考えていた。
「泣ける」
「感動の一冊」
「今年いちばん」
どれも、
どこかで見た。
というか、
全部どこかで見た。
夜。
お風呂の中でも考えていた。
湯船で、
急に降りてきた。
「読んだ人だけが黙る本」
これだ。
我ながら、
悪くない。
濡れた手で
メモアプリに打ち込んだ。
翌朝、
店長に見せた。
店長は三秒見て、
やさしく言った。
「もうちょっと、
分かりやすくしよっか」
やさしく、
全部書き直された。
貼られたのは、
これ。
「話題の一冊です」
七文字。
一週間ぶんの語彙力が、
七文字に負けた。
しかも、
その週いちばん売れた。
ではまた。
「読んだ人だけが黙る本」は、
一冊も動かないまま、私のメモアプリに残っている。
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