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家の中の小事件

午後二時から四時

どうも、
荷物を待つだけで一日を使い切る女、ミサキです。

ポストに、
不在票が入っていた。

「ご不在のため」

いた。

家に、いた。

思い返す。

その時間、
私はベランダで
洗濯物を干していた。

チャイムは、
鳴っていない。

鳴ったのかもしれない。
聞こえていないだけで。

スマホで再配達を頼む。

画面に、
時間帯が並ぶ。

八時から十二時。
十二時から十四時。
十四時から十六時。

どれにするか。

昼を選んで、
昼ごはんを買いに出たくなったら。

夕方を選んで、
お風呂に入りたくなったら。

そういうときに限って来る。

考えた末に、
午後二時から四時を選んだ。

午後二時から四時。

その二時間、
私は家から出られない。

トイレに行くときも
玄関の方を向いたまま。

ベランダには出ない。
洗濯物は、
室内に干す。

インターホンの音量を、
最大にする。

自分で押して、
確かめる。

ピンポン。

鳴った。

鳴ることは、
知っている。

二時十分。
来ない。

三時。
来ない。

三時五十分。
来た。

ピンポン。

走る。

「お届けものです」

受け取る。
伝票を見る。

宛名は、
夫だった。

夜。

帰ってきた夫が
箱を見て言う。

「あ、俺のだ。
釣りのやつ」

中身を見せてくれる。

魚の形の、
ルアー。

二時間。

ルアー。

ではまた。

待っていたのは、
私の荷物ではなかった。

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