いつか使う箱
どうも、
化粧品のミニサイズを一生使い始められない女、ミサキです。
洗面所の引き出しに、
小さな箱がある。
その中に、
サンプルが入っている。
化粧水。
乳液。
美容液。
デパートでもらったもの。
通販のおまけ。
雑誌の付録。
どれも、
ちゃんとしたメーカーのものだ。
安物ではない。
むしろ、
普段の自分では買わない価格帯のものが多い。
だから、
「ここぞ」という日に使おうと思っている。
そのここぞが、
来ない。
十年、
来ていない。
考えてみると当たり前で、
私の一日に「ここぞ」は無い。
パートに行って、
帰ってきて、
夕飯を作る。
その中のどこに、
特別な化粧水を使う日があるだろう。
無い。
無いから、
箱に残り続ける。
先日、
一つ手に取ってみた。
裏の使用期限を見る。
去年で終わっていた。
もう一つ見る。
これも去年。
三つ目。
一昨年。
いつか使うために、使えなくなるまで置いていた。
これは、
けっこう来た。
もったいない、
というより、
自分に「ここぞ」を一度も許さなかった十年が、
そこに並んでいる感じがした。
期限切れを、
まとめて捨てた。
そして、
残ったサンプルの一つを開けて、
その日の夜に使った。
特別なことは、
何も起きなかった。
いい匂いがした。
それだけだった。
でも、
それでよかった気がする。
どうも、
ここぞの日を
自分で作らないと来ないと知った女、
ミサキでした。
0 views