落ち着くまで
どうも、
炭酸を持ち帰っただけで事件にする女、ミサキです。
スーパーの帰り。
自転車のカゴに、
炭酸水が一本。
坂道で、
ガタガタ揺れた。
帰宅。
冷蔵庫に入れようとして、
ふと思う。
これ、
今、開けたら。
頭の中で、
水柱を再生する。
天井まで届く。
届いたことは、
一度もない。
知っている。
知っているのに、
流しの前で
キャップに手をかけている。
回す。
ほんの少しだけ。
プシュ、
と鳴る。
止める。
もう少し回す。
プシュシュ、
と中身が上がってくる。
止める。
これを三回やる。
四回目で、
全開で噴いた。
流しの中なので、
被害は
袖口と前髪。
子どもが来る。
「ママ、
髪、光ってる」
ここで学ぶ。
落ち着くまで、
置く。
時間を決める。
十分。
落ち着くまで。
ボトルを
キッチンの隅に立てる。
一分経過。
ボトルを見る。
落ち着いたのかどうかは、
見た目では
まったくわからない。
その間に、
洗濯物を取り込んで、
夕飯の下ごしらえをして、
ボトルの存在を忘れる。
夜。
夫が冷蔵庫を開ける。
「炭酸、
冷えてないけど」
「落ち着かせてた」
「いつから?」
「……三時間前から」
冷やして、
ふたを開ける。
音が、
しない。
ではまた。
落ち着いたものは、
水になる。
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